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大神編 | レニ編 | |||
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「女の子がひとりで男の部屋に入ったときは、扉を開けておくように教えられただろう?」 俺は、少し強い口調で言った。 戦闘時以外で取る態度としては、厳しいものだったかな、と思う。 原因だって、俺を起こしにきたレニが、部屋の扉を閉めただけなのだから。 最近まともにふたりきりの時間が取れなかったから、レニが寂しく思っただけだろう。 レニの気持ちは、すごく嬉しい。 でも、そんなことを言っていては駄目なんだ。 「ごめんなさい・・・」 レニは、感情を押し殺した声でつぶやいたあと、唇をかんだ。 う・・・。 そんなに落ち込まれたら、どうしたらいいんだよぉ・・・。 「・・・もう少し気をつけるんだよ」 優しく付け加えてみる。 「了解」 レニは緊張を解いてくれた。 しかし、その後につないだ言葉は・・・。 「・・・それで、あの・・・この間のお仕置き・・・」 ええぇぇ?! 絶句した。と言うより、なんて言えばいいのかわからなかった。 まさか、と思う。 ・・・俺の前回の対応は、間違いだっただろうか? 確かに、1ヶ月前に注意したとき、レニを困らせるつもりでキスをしたけど。実際、困った顔をしていたし・・・。 もしかして、あれは、レニを喜ばせてしまったのか? だから、頭のどこかで、レニがこう言い出すことを期待していたのかも。 だとすれば、これは、心を鬼にしなければ・・・ レニの両肩に手を置いて、真剣な顔をしながら、レニを覗き込んだ。 「お仕置きの意味、判っているのか?今日は、なし、がお仕置き」 俺の言葉で、またレニの表情が一瞬曇る。 「了解」 戦闘前のような冷静な表情に見えるけど、瞳は涙で潤んでいるようだ。 レニだって、解かってくれていると思うが、俺はそんなに期待させていたのか? 一体、俺に、これ以上どうしろと言うんだ?! こんなことで、レニを泣かせたくなんかないぞ! 「じゃあ、聞き分けのいいレニに、ご褒美として・・・」 俺は、とっさにレニの額にキスをした。 レニは、突然のキスに、瞳を大きく見開いた。 そして、顔に、ぱあっと微笑が広がる。 俺も、つられて微笑んでしまった。 これは、まずい。非常に、まずい。 このままじゃあ、前と変わらないぞ。 俺は、レニに、もっと女としての自覚を持ってもらいたいのに・・・。 世の中にはいろいろな男がいるんだから、間違いがあってからじゃ、遅いんだから。 俺は、心の中でため息をついた。 マリアやかえでさんにも、さりげなく注意してくれるように頼んでいたのに・・・。 二人の行為を無駄にしてしまった。 俺って、やっぱり隊長失格でしょうか・・・。 |
「女の子がひとりで男の部屋に入ったときは、扉を開けておくように教えられただろう?」 隊長の声は、有無を言わせない厳しいものだった。 頭ごなしに怒るわけでない調子が、ボクの心に深く染み込んでくる。 ボクが悪い。 かえでさんやマリアからも注意されていたことを、ボクが守らなかったから。 してはいけない事だとわかっていた。 でも、隊長の部屋で、隊長とふたりっきりの時間を邪魔されずに過ごしたいと思った。 扉を開けていたら、誰かが通りかかったら必ず、ふたりきりの時間が途切れてしまう。隊長だけに伝えたい、わがままな感情も、押さえざるをえない。隊長も、ボクを抱きしめてくれなくなった・・・抱きしめてくれるけど、回数も、時間も半分以下だ。 先月までは、扉を閉めて甘やかせてくれたし、初めてのときは、隊長から誘ってくれたのだから。 だから、1ヶ月に1回ぐらいなら、いいかなって、思って・・・。 「ごめんなさい・・・」 例外を認めていれば、決まりはないのと同じだ。 やむをえない事情ならともかく、これは、ボクの心が原因だったから。 納得できない命令なら、拒否をする。 だけど、約束は、自分で守ると決めた決まりなのだから、それを破ったボクが注意を受けるのは当然。今回が、2度目ならば、なおさらだ。 「・・・もう少し気をつけるんだよ」 それなのに、そんなボクに、隊長は優しい言葉を付け加える。 「了解」 その時、ボクの頭の中で呼び出された記憶は、不謹慎だけれど、前回、隊長に注意されたときのお仕置きだった。 あれは、本当にお仕置きだったのだろうかと思うけれど、隊長がそう言ったから間違いない。 でも、あれは・・・。 「・・・それで、あの・・・この間のお仕置き・・・」 隊長は、何も言わなかった。 きっと最高速で、何かを考えていたのだと思う。 ボクが、「お仕置き」して欲しがること・・・とか。 正確には5秒ぐらいかもしれないけれど、5分ぐらいには感じられた。 隊長が、ボクの両肩に手を置いて、真剣な顔で覗き込んできた。 「お仕置きの意味、判っているのか?今日は、なし、がお仕置き」 ・・・そうか。わかっちゃったんだ。 「了解」 ボクが期待していること、わかっちゃったんだ。お仕置きは、「罰」だから・・・。 そう思ったとき。 「じゃあ、聞き分けのいいレニに、ご褒美として・・・」 隊長の指がボクの前髪をかきあげ、隊長の唇がボクの額に触れた。 え・・・。 それは、前回のお仕置きと同じで、今回はご褒美で・・・。 同じ行為のはずなのに、今日はとても心地よくて・・・。 隊長。 ボク、約束を守るから、また、ご褒美が欲しい。 ううん。隊長なら、約束に関係なく、キスしてくれるよね? |