『服は黒スパッツで雨に濡れたレニ君』
■12345hitリク■ふぁむ様

RAIN


■レニ■2003/02/05■Photoshop5.0
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↓ふぁむ様からリクエスト時の「こんなシチュエーションで」SS。
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重苦しい曇天が僕の頭上にある。
・・そう思っていたのに気がつくと雨滴が僕の全身にまとわり
ついていた。
濡れた前髪を一度かきあげた。
冷気に包まれた手を見つめると、朝の感触が蘇ってくる。

誰かを叩いたのは初めてだった。
いや、あんなにはっきり感情を表に出したのも、初めてだった
かもしれない。

嫌な考えを忘れようと軽く頭を振った。
水が飛ぶ。
けど、水と一緒に飛ばしたはずの想いは再び形をとりはじめた。
僕は隊長に嫌われてしまっただろうか・・。

水を叩く音が聞こえた。
それが誰かの走る音だというのはすぐにわかった。
だんだんと音が大きくなるのは近づいてきているからだろう。

雨に隠された影が明確になるにつれてそれが誰かわかってきた。
僕の良く知る人物が、すぐそばで立ち止まった。
傘も差さずに探してくれたみたいだ。
でも僕は振り向いてあげない。
前髪で瞳を隠して顔をそむける。
心のどこかでまだ隊長を責める自分がいる。
だけど、そんな自分を責める僕も、確かにいる。

後ろから抱きしめられた。
隊長が懸命につむぐ言葉が僕の耳に届く。
やけに大きい心臓の音が冷静な思考を邪魔する。
誤解。
つまりはそう言いたいらしい。
隊長の体温と言葉が、僕にぬくもりをくれる。

くすくす、と手を口元に当てて笑った。
言い訳に必死な隊長と、感情的になっていた自分がおかしくて。

「隊長、もう、気にしてないから。」

嘘三割、本音七割。
隊長が軽く息をはいた。
多分、ほっとしたんだ。
気にしてはいないけど、まだ許した訳じゃない。

涙は女の武器だというのは何処で聞いた言葉だったか。
本当はもう、頬に伝う雫が涙かどうかわからなかったけど、
この際なのでちょっと意地悪な質問をしてみる。
隊長の動きが止まった。
うっ、と詰まったところを見ると、やっぱり・・。

つい、と身体を離し、ふい、と顔をそむける。
不機嫌を装って、わざと慌てさせてみる。

僕の名前を呼ぶ声が焦りを含んで大きくなっている。
なんとなく気が晴れたので振り向いて・・視線が合った。

僕の動きが止まった。
逆に僕の心臓はさっきより激しく暴れまわっている。
目が合ったからじゃない。
そのあと、隊長が何か言ったからだ。

僕、だけ・・?

他にも何か聞いたはずなのに、その一言しか覚えていない。
目が熱くなった。
頭が熱くなった。
耳も頬も、雨に濡れた身体も。

今、僕は泣き笑いのような顔をしているのかもしれない。
そんな僕の扱いに困ったのかこの人は意味もなく口を開閉させ
ている。
自分で言ったくせに。
自分でこうしたくせに。

まだ赤い跡が残る頬をかくと、隊長は僕の手をとって自分の方
へ引き寄せた。

「その、とりあえず、部屋に行こうか」

こくり。

僕がうなずくと安心したのか、隊長は歩き出した。
まだ少し、動きがぎこちなかったけれど。

「一緒に身体を温めないとね」

そう言った隊長が唐突に立ち止まる。
ついでよくわからないことを口走った。

「あ、いや・・その、シャワーを浴びて着替えよう、そ、そう
いう意味でいったんだ」

振り向いた顔が何故か赤い気がする。
何を慌てているんだろう。
軽く首をかしげてみせると、ならいいんだ、と今度はやや早足
で歩き始めた。
後ろから見ると、耳まで赤くなっている。
・・隊長は何を考えたのだろう?
なんとなく、気になった。 



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